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超難関大学に見事合格

超難関大学に見事合格

 一方、この春、国立の超難関と言われる大学に合格した体験をご紹介しておきましょう。昨年春の段階では、偏差値から言って合格の可能性はほぼないとされていた大学への入学で、喜びと希望に燃えている新入生です。

「私の卒業した高校はいわゆる進学校ではありません。高校入試のときは、本命校の受験に失敗し、すべり止めに受けていた高校でした。と言っても、本命校は五分五分と言われていたので、それほどのショックはなく、まあ仕方ないかという感じで素直に受け止められたのですが、それでもしばらくは、コンプレックスからか、進学校に進んだ友人たちとの接触もできないでいました。

高校自体も、大学進学に力を入れておらず、クラスメイトたちも勉強にはガツガツしていないので、高校生活をエンジョイするにはいい環境とも言えたのですが、もの足りなさはずっと感じていました。

 親の意見もあって、一応、1クラスだけの進学科に席を置いていたものの、受験勉強とは無縁の生活でした。自分自身、三流でもどこでも、大学生になれさえすればいいや、と覚悟を決めてしまったので、ものすごく気楽だったのは事実です。

 私がデジ速に出合ったのは、父の勧めによるものでした。父親は高卒ですので、何とか一人息子の私だけは、大学に入れたいと思っていたようで、それでも押しつけるようなことはせず、面白いものがあるよ、というような感じでデジ速を紹介してくれました。

 それは確かに面白いものでした。最初聴いたのは確か7分間だと思いましたが、英語のBBCニュースでした。

 パソコンの画面に棒グラフが出ていて、それが速度表示になっていました。一倍速、つまり普通の速さからスタートして、1・7倍速、2・7倍速、3・5倍速とだんだん速くなって行きます。英語のニュースなんて普通に聴いてもわからないのに、そんなに速くなったらますますわからなくなる。そんなに速くしてどうなのかと思いながら聴いていましたが、最高速の3・5から2・7倍速にスピードダウンすると、何だか少し様子が変わってきました。

先程の2・7倍速と同じスピードのはずなのですが、それほど速くはないようなのです。それがはっきりわかったのは、1・7倍速にスピードダウンしたときです。これが明らかに最初の1倍速と同じスピードに聞こえたのです。

 そして、1倍速に戻ると、これが何と妙にゆっくりと聞こえるのです。もちろん文意まではわかりませんが、単語が何語か拾えました。ニュースの中の英単語が聞き取れたのです。不思議な感じでした。

 その後、父が話してくれたのは、これを受験勉強に応用してみては、というものでした。教科書を吹き込んでおいて、2倍速で聴けば2分の1の時間で、3倍速で聴けば3分の1の時間で同じ分量の勉強ができる。自然と集中力もつくから、人生において1度だけ挑戦してみたらどうか、と話してくれたのです。

一日たった3時間の受験勉強

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 3年の夏休み前でしたので、予約していたいつものアルバイトもキャンセルし、受験勉強に専念することにしました。

 と言っても、眠る間も惜しんで受験勉強、というスタイルだけは取りたくありませんでした。クラブは辞めることにしましたが、今の友達との最低限の付き合いだけは続けたいと思いました。

 最初に手がけたのが、教科書のパソコンへの吹き込みでした。仮にも進学科だったせいで、受験できるだけの内容の教科書はそろっていたので、全く馴染みのないものを使うよりも、習い覚えたテキストを使うことにしました。

 私が受験勉強に充てるようにした時間は1日3時間です。

 当初は1時間を吹き込みに使い、1時間をデジ速に使い、残りの1時間をデジ速の余り役立ちそうにない数学の時間に充てました。

 最初、迷ったのです。もともと東京のどこか三流私大の文科を“志望”していましたから、理科系科目は全く無視していました。理科系は自信もありませんでしたし、当然好きでもありませんでした。
しかし、目標を私大から国立に切り替えることにしたのです。私大で三流から一流にレベルアップするだけでも良かったかもしれませんが、中学時代の友人たちを見返したいという願望がありましたので、カッコ良さだけを狙って国立を目指すことにしたのでした。もし、どうしても無理なら、その時点で私大に切り替えても良い、とも思っていました。

 英語は自分で吹き込んでも意味がないので、教科書の内容のCDを買い、それを使うことにしました。しかし、基礎ができていないことがわかっていましたので、中学1年の教科書に戻って聴くことにしました。おそらく、これが一番役に立ったのではないかと思います。

 吹き込みだけで夏休み一杯かかりました。もちろん、吹き込んだ順からデジ速で聴き始めましたし、英語は、初めにデジ速を聴いたときの体験もあったので面白く、最初から飛ばしました。

一時間集中しても不思議と疲れない

 1日3時間と決めていたのですが、デジ速をやり始めると、結構乗ってきて、休み中は4、5時間になることもザラでした。勉強が面白いことに思えたのは、18年の歴史の中で多分初めてのことでした。

 テキストの吹き込みが終わると、後は楽でした。最初は2倍速で聴きました。デジ速の2倍速の音を耳にしながら教科書を目で追います。多分、普通の状態で教科書を1時間読んだら飽きがくるでしょう。
ところが、デジ速を使いながらだと、勝手にデジ速が先に進むし、目はそれを追うだけで必死の状態になりますから、なるほど父が最初に言った通り、自然に集中力は高まります。1時間集中のしっ放しなのですが、不思議と疲れは感じません。反対にスピード感、テンポの良いリズム感が、むしろ心地良いくらいなのです。

 2倍速でも3日(3時間)で1教科を終了します。1カ月ほどすると、2倍速でも楽について行けるようになったので、3倍速にスピードアップしました。これだと、計算上は2日(2時間)で1教科了えることになるのですが、2日ではなく、1日で終わってしまいます。と言うのも、ついつい面白くて2時間連続して聴いてしまうので、1日1回で読み通してしまうのです。

 こんな教科書を1日で読破してしまうなんて、デジ速なしでは絶対に考えられないことです。10月になると、数学を除き、1日1教科全テキストを読み込んでいました。慣れてくると、教科書なしでも、内容をきちんと把握できるようになっていました。

 数学についても途中からやり方を変更しました。考えてみると、数学の教科書も数式だけがずらずら並んでいるのではなく、相当量の説明文があります。それを吹き込んで、それだけでも覚え込むようにしました。計算力だけは、どうしようもありませんが、公式を丸暗記するだけでも、数学というものに対する考え方が違ってきました。お前のことは一応全部理解しているのだよ、という安心感のようなものを持てるようになったのです。

偏差値が短期間で急激にアップ

偏差値が短期間で急激にアップ
 この頃から、数学の点数も徐々にですが、向上を見せるようになってきたようです。これは私の国立受験のための秘かな自信となっていました。

 進学指導の先生は、志望校を最終的に絞り込む段になって、私の志望校を聞くと、おいおい約束が違うだろう、という顔をしたのですが、受験生の特権として一度だけシャレで受けてみたいと言うと、それもそうだな、ということで納得だけはしてもらいました。もっとも、私の模試での偏差値は夏から秋にかけて急激にアップしていましたから、意気込みの違いだけはわかってもらえていたようです。

 ただ、急激なアップと言っても、何分スタート時点があまりにも低いものですから、志望校の合格圏はまだまだ遠い彼方というところでした。

 11、12月とひたすら、デジ速で教科書を頭に入れ、数学の問題解きを続けました。その間、偏差値はじわっじわっと上がってきました。

 驚いたのは、国語の伸びです。現代国語に関しては対策の立てようがなく、特別何もしてきませんでしたが、デジ速のおかげで理解力が格段に増しているようでした。それは自分でも実感することができました。文章を読んでも、その内容が良くわかるのです。あえて言えば、作者の意図がわかると言うか、理解できるのです。

 この波及効果は、全体に及びました。英語では和訳がうまく文章になりますし、他の科目でも、問題の意図が良く読めるので答えやすいのです。考えてみれば、前には、少し難しい問題になると、2、3度読み返していたものです。それがどんな問題も読み返しの必要は全くなく、その分だけでも短いテスト時間の中で随分時間の節約になったと思います。

 これらは予想外の効果でした。

 12月ぎりぎりまでに第一志望の国立と第二志望の私立、そしてすべり止めの私立を決め、1月からいよいよ受験本番です。私立2校の試験前日にも、世界史の教科書を完璧に近いほど頭に叩き込み、とにかく教科書の中から出る問題であれば、何でも答えてやるぞ、というくらいの気持ちになっていました。英語もヒアリングだけならば、ほぼ完璧状態になっていました。

 すべり止めは完全に自信がありました。中央線沿線にキャンパスがあるので第二志望に決めた上智は、五分五分という感じはもてました。センター試験も足切りには引っ掛からない程度の成績は取れ、一安心でした。

 2月の試験前は、英語を総ざらいしました。この時点では知識よりもむしろスピードを上げ、頭の回転を速くすることに主眼を置いたのです。自分でも切れ味が鋭くなったような気がしていました。

 試験当日は、受からなくてもともとという気もありましたし、やるだけのことはやったという気もあり、焦ることなく冷静に構えていられました。試験場で中学時代の友達K君に会い、久しぶりという挨拶だけはしましたが、K君は私がその場にいること自体に驚いているようでした。

 彼を驚かすことができただけでも、それまでの半年間頑張ってきた甲斐があったと思いました。

 結果、K君とは一緒になれませんでした。私が合格できなかったのではなく、K君のほうが落ちてしまったためです。高校入試とは逆になってしまったわけですが、わずか半年でそれだけの大逆転が可能だったのは、まさにデジ速効果と言う他はありません。

上智・文と筑波一群の両方に受かるなんて、1年前には受験することさえ考えられなかった私にとってまるで夢のような話です」





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